常にデマンドが変動する半導体業界で、
安定調達・安定供給を実現するために。
田口 和宏 精密・電子カンパニー 装置事業部 SCM部 調達二課(写真左)
2005年新卒入社。製造部門を経験した後に、生産計画部門に異動。生産計画を9年間経験し調達の部門へ。藤沢と熊本の2拠点で調達の実務を経験している。
合田 和広 精密・電子カンパニー 装置事業部 SCM部 調達一課(写真右)
2006年キャリア入社。客先工場での装置立ち上げを担うフィールドエンジニアとして採用された後、調達に異動。さらに一度品質保証部門を5年経験し一昨年調達に戻ってきた。
世界的に高く評価され、出荷増が続く荏原製作所の半導体製造装置。ここではそんなグローバル事業を支える調達部門のマネージャー二人に、現状とこれからについて話を聞きました。
――「半導体製造装置に関わる調達業務」とは、どのような仕事ですか。
合田:当社の主力製品であるCMP装置などに使われる資材や部材を調達する業務で、装置の生産計画にあわせておよそ数百社の主要パートナー(取引先)から仕入れていくというものです。
田口:発注先の選定から見積もり、価格交渉、契約締結、納期管理までの一連の調達業務と、さまざまな課題の解決に取り組む改善業務のふたつがメインですね。
――調達一課と二課の違いとは?
合田:同じ半導体製造装置向けの調達業務ではありますが、私が所属する一課では主に加工品を扱い、田口の二課では主に購入品(メーカーカタログ品、特注品)を扱うという違いがあります。
田口:我々二課の主な仕入れ先は商社や大手メーカーで、合田の一課は精密な加工技術を持つ加工会社がメインといった棲み分けです。
――汎用品ではまかなえないことも多いのですね。
合田:はい。顧客ごとに細かく装置の仕様が異なりますので、図面指示によっては特殊な加工技術を持つ会社に「量産加工の可否、要求精度を満たせるか?」と打診することもあります。
田口:我々も汎用品の一部仕様の変更をお願いするケース、いわば「荏原スペシャル」の製作依頼をかけることもあります。
――半導体製造装置の出荷量が増えていると聞きますが。
田口:そうなんです。当然のことながら管理する部品点数も増加していて、今のままだと一人あたりの業務範囲が増える一方です。キャリア採用を通じての増員で一人あたりの担当領域を絞り込み、そこに集中する体制に変えていこうとしています。
合田:コア業務に専念するために、周辺の業務をいかにシステム化していくのかといった業務改善も並行して進める形ですね。
――今回の採用は新体制に移行するためのものなのですね。
合田:ええ。増産対応だけでなく、ここ数年は為替相場やパンデミック、国家間の摩擦など、過去に経験のない事案への対応にマンパワーが割かれることも多いですから。
田口:近年は単に必要なものを入手するだけでは、利益を生み出せなくなってきています。かといって仕入れ先に値下げを要求するばかりでは継続性のあるビジネスに育てることは難しい。このあたりのバランスをとりながらの交渉には、やはりどうしても時間がかかってしまいます。
――いわゆるウィンウィンな関係性の構築が求められていると。
合田:はい。「うちもここは飲むから、この部分の改善はお願いしたい」といった具合にお互い条件を出し合いながら、最適な着地点を探していく感じです。
田口:その過程で社内の他部門に協力を取り付けることもありますので、外部仕入れ先と社内各部門のちょうど中間にあるような部門ですね。
――その他、改善業務としてはどのような取り組みがありますか。 田口:ムリ・ムダ・ムラを無くす活動の中で調達ワーキンググループを立ち上げていて、その中でコスト改善策や安定調達につながる体制づくり、新しい仕入れ先の開拓など付加価値を高めるための調達活動を進めています。 合田:半導体業界は波が激しく、需要が急に高まったり落ち込んだりします。そこに人力で対応していくには限界がありますので、可能なところから業務のシステム化を目指し、多少の需給変動では影響を受けない体制づくりを意識しシステム導入の検討を進めています。
――わかりました。では最後に求める人物像を教えてください。 合田:社内外のさまざまな立場の方たちとコミュニケーションを取る力は必須です。あとは自分が担当する日々の業務に埋もれることなく、「どうすればもっと仕事がしやすくなるかな?」という視点で改善アイデアを積極的に出し、実現に向けて行動してくださる方なら尚良いですね。
――調達業務以外に自分たちの業務のやり方を変革していく考えをお持ちの方ですね。 田口:他社の話を聞いていると、調達は「必要なものを入手する」役割に特化している方も多いようです。その点、当社は与えられる裁量が大きく、継続的な利益を確保するために、事業に即した調達戦略の策定と実行を積極的に行ってくださる方が良いですね。ご自身の経験を活かしてより良い調達を目指したいという方であればやりがいを感じていただけるのではないでしょうか。