もっと高精度に、もっと効率的に。
一台一台、工夫を重ねてつくり込む。
香山 侑也 精密・電子カンパニー 生産企画第一部 製造第二課(写真左)
2022年キャリア入社。前職はプリンタの製造・組立に携わっていたが、結婚を機に転職。荏原製作所が注力する半導体関連事業の成長性と、ワークライフバランスが整っていることに惹かれたという。
辻 啓汰 精密・電子カンパニー 生産企画第一部 製造第一課(写真右)
2015年新卒入社。機械科の出身で、荏原製作所の巨大なポンプづくりに興味をもったのが入社のきっかけ。現在は藤沢事業所で主にドライ真空ポンプのロータと呼ばれる部品の加工を担っている。
わずかな異物の混入が許されない半導体製造工程において、クリーンな製造環境を保つために欠かせないのが荏原製作所のドライ真空ポンプです。今回はこのドライ真空ポンプの製造工程で働くお二人に話を聞きます。
――ドライ真空ポンプの製造職とのことですが、それぞれどのような業務を担当されているのか教えてください。
香山:製造工程は大きく組立と加工の2つに分かれていて、私は組み立てラインの中で性能試験から出荷までの工程を担当しています。
辻:私は加工側で、ポンプ内の空気をかき出すロータという金属部品の加工を行っています。
――ではまず組立の流れから教えてください。
香山:まず単体組立という工程でポンプモジュールを組み立て、その後の総合組立でフレーム内にこのモジュールを組み込みます。あとはモータを制御するユニットなどを組み込んだ上で、性能試験という流れですね。
――工程別に組立業務は、分割されているんですね。
香山:はい、さらに納入先ごとに仕様が違うため、組み立て方も一様ではないんです。自動化による省人化も進めてはいますが、人の手を介さないといけない部分がまだ残っていることもあり、組立台数は1チームあたり1日に数台程度です。
――なるほど、混流生産ゆえに組み立てに時間がかかるというわけですか。では同様に加工の流れについても教えてください。
辻:加工品は大きく分けてケーシングとロータの2種類があります。ロータは、サプライヤーから納品される鋳物をベースに旋削加工、研削加工といった工程で加工していきます。加工後には3次元測定機による完成品の測定を行います。
――こちらも自動化が難しい工程なのでしょうか?
辻:いえ、ロータ形状は標準化されているので、さまざまな工作機械やロボットの活用により加工および工程間の搬送はほぼ自動化されています。
――ということは、実際にワークを加工する業務はあまりない?
辻:自動生産に至るまでには各工作機械のプログラム作成、試加工を行い品質の評価をすることが必要です。その作業を繰り返し行うことにより初めて自動生産につなげられます。
――わかりました。お二人にお聞きしますが、この会社・この製品ならではといえる製造業務の特徴はどのあたりで感じますか?
香山:先ほども少しお話ししましたが、多様な製品の混流生産ですので作業手順が、頻繁に変わります。このあたりは同じ製品を大量につくる量産ラインと違う点ですね。
――作業者に熟練が求められる部分があるということですね?
香山:ええ。同じことを繰り返す単純作業ではないので、ある程度の経験は必要です。あとは複数枚のロータを組み付ける際、ロータ間のわずかなクリアランスを微調整しながら組み込むのですが、この工程には特に熟練が求められます。
――個別の製品への対応も大変そうですね。
香山:ただ、その分現場の自由度も高いので、皆自分なりに工夫しながら仕事を進めています。そのあたりも当社の特徴かなとは思います。もちろん我々リーダーがフォローアップしていますけどね。
――辻さん、加工の面ではいかがでしょう?
辻:ミクロン単位の加工ですから、かなりセンシティブですね。例えば金属を削る刃物のわずかな摩耗で、ワークの肉のつき方が変わってしまうため、常に電子顕微鏡で刃先の状態を監視していないと、歩留まりが悪化してしまうんですよ。
――高い加工精度が求められるということですね。では次に、それぞれ現在取り組んでいる課題を教えていただけますか。
香山:組立の面では業務効率化によるスループットの向上です。そのためにまずは単位時間あたりの生産量をそれぞれの工程ごとに数値化し、無駄やムラがある箇所を可視化する取り組みから始めています。
辻:夜間も加工機を停止させることなく稼働させていますので、加工品質の安定が喫緊の課題ですね。今後見込まれている増産に対応するため、現在はとにかくばらつきの原因を究明して前工程にフィードバックしていくことを繰り返しています。
――将来的には、どのようなステップアップが望める職場なのでしょうか?
辻:現場リーダーになる道、高度熟練技術者になる道、プロセス開発者になる道の3種類のキャリアパスがあります。入社後数年間の現場経験を経て、本人の希望や適性に応じてそれぞれのコースに分かれていく形です。
――導入時の研修にはどのようなものがありますか?
香山:社内に技能訓練課がありますので、入社後はまずそこで研修を受けていただきます。現場配属前に、基本的な工具の使い方や装置の構造などの基礎を学ぶことができます。
――最後に転職先を探す方々にメッセージを。
辻:試行錯誤しながら精度を突き詰めていく業務ですので、自分のアイデアが成果につながる面白さがあります。ものづくりが好きな方なら楽しめるはずですよ。
香山:その点は組立も同じですね。仕事の面以外だと、有給の取りやすさなんかもメリットではないでしょうか。長期連休で旅行に出掛けてリフレッシュ。なんてこともしやすい環境です。
辻:残業もそれほどなくて働きやすいですよね。