荏原の水素だから描ける未来/社員インタビュー

荏原の水素だから描ける未来

2021年にスタートした荏原製作所の水素事業。さまざまな技術・製品の開発に挑む現場では、キャリア入社の技術者が多く活躍しています。彼らがどのような経緯でこの水素プロジェクトに合流し、何をつくり、どんな未来を思い描いているのか。3名の転職者の今をお届けします。

  • 原 彰宏(2022年入社)

    開発職/技術開発部

    もともと工作やものづくりが好きで、周囲の勧めもあったため高専に進学。卒業後は大手重工メーカで蒸気タービンの設計に従事。さまざまな転職先を検討した結果、荏原製作所への入社を決めた。

  • 早稲田 真平(2023年入社)

    開発職/プロセス・装置開発部

    高校生の頃からの夢は宇宙関連の仕事につくこと。前職ではその夢をかなえ、宇宙ステーションで使われる実験装置などの開発に従事する。その後「最終製品の近くで働きたい」と荏原製作所に転職した。

  • A.M.(2022年入社)

    開発職/技術開発部

    大学卒業後、大手メーカで自動車関連製品の開発に従事。その後、航空・宇宙関連分野のエンジニアリング企業に転職し回転機器の開発に携わる。中学生と小学生の子を持つ2児の父。

Q1.なぜ荏原の水素に転職したのでしょうか?

原 彰宏

ダイレクトに脱炭素に関わる仕事を探していた

ウィンタースポーツが趣味の私。ひと昔前は1m、2mの積雪が当たり前でしたが、近頃は積もっても50cm程度です。そんな変化に気づくたび、気候変動が身近なところまで迫ってきていることに危機感を覚えるようになりました。前職では化学プラント向けの回転機器の設計に携わっていましたが、全世界が脱炭素を目指し水素社会へと舵を切る中、今後液化水素は不可欠な存在になるのではないか、その液化水素に欠かせないポンプを扱う荏原製作所に転職すれば、脱炭素に直接貢献できるエンジニアになれるのではないか。そう考えてこの会社を転職先に選びました。

早稲田 真平

最先端領域で、もっと製品に近いところで働きたかった

前職でも概念検討・仕様設計という形でものづくりには関わってはいたのですが、外部メーカへの発注と進捗管理がメインだったため、「どうやってつくるか」という技術検討の部分にはタッチできませんでした。やがて「もっと製品に近いところで働きたい」という気持ちが抑えきれなくなり、転職エージェントに相談。そこで荏原製作所の水素事業を知りました。要素技術の研究開発から詳細設計、試作まで一貫して携わることができる。しかも水素や宇宙関連の新規事業に前のめりだといいます。今がチャンスだと思った私は家族に相談し、転職を決めました。

A.M.

将来の不安なく新しい技術開発にチャレンジできる

前職では航空・宇宙の分野で使われる回転機器の設計を行っていました。特殊かつ高度な技術をもつ企業でしたが、事業規模はそれほど大きくなく、取引先の方針転換を機に業績がガクンと落ちてしまいまして…。仕事や会社に不満はなかったものの、外的要因により経営が大きく左右されてしまうことに不安を感じ、ある程度安定した企業で働きたいと思ったのが転職を考えるようになったきっかけです。荏原製作所はその点申し分ないですし、仕様検討から製品に落とし込む部分まで全部手掛けられること、前職のターボポンプ開発経験がそのまま活きることも決め手でした。

Q2.現在の仕事内容とやりがいについて教えてください

原 彰宏

水素社会に欠かせない液化プラントの高効率化に挑む

現在は水素液化プラントで使われる水素タービンの開発を行っています。水素はガス状のままでは密度が小さいため、効率よく運搬することができません。そこでギュッと圧縮して液体にするのですが、この液化プロセスで発生する熱エネルギーをいかに無駄なく再利用するかがひとつの課題になっています。私が手掛けている製品の開発が完遂すれば、この課題の解決策のひとつとなって効率が改善され、水素供給コストの低減を通してさらなる水素社会の拡大につながります。もともとやりたかった環境問題の解決につながる技術開発を任されているのですから、もちろんやりがいを感じています。

早稲田 真平

磁気冷凍技術の確立により、かつてない再液化システムを

磁気冷凍という新しい冷凍技術を搭載した装置の開発により、一度蒸発した水素をより高い効率で再液化するシステムの実現を目指しています。しかしまだ磁気冷凍技術自体が未確立であるため、今は概念検討を社外の研究機関の助言を受けながら進めている最中です。磁気冷凍に関する技術に腑に落ちない点があれば、解析を行うなどして確認しながら開発を進めているのですが、極低温下の世界では思わぬ振る舞いをすることもあり驚かされることもしばしば。やはり実際に手を動かしながらあれこれ試すプロセスにこそ、ものづくりの面白みがありますね。

A.M.

水素航空機向け新型ポンプ開発でCO2排出削減に貢献

私は水素航空機向けの燃料ポンプを開発しています。水素航空機はその名の通り水素を燃料とした飛行機のことで、最大の特徴はCO2を一切出さないということ。現在、世界のCO2全排出量の2%、およそ10億tを航空機が占めており、液化水素ポンプの開発を通じて水素航空機の社会実装を実現し、脱炭素に貢献していこうという取り組みです。まだはじまったばかりの分野の開発で、実際にものができて空を飛び、自社の収益につながるといったフェーズはまだまだ先ではありますが、社会課題の解決に直結する開発ですから、モチベーション高く仕事に取り組めています。

Q3.競合他社に対するアドバンテージはどこにありますか

原 彰宏

LNG関連製品の開発経験が液化水素にも役立つ

荏原製作所は液化天然ガス(LNG)用ポンプの開発実績が豊富です。LNGは-162℃という極低温で扱わなければならないため、独自の技術が多く取り入れられています。極低温の流体を扱う際に発生する特有の課題に対する知見や回転体製品の技術が、現在私たちが取り組む-253℃の液化水素関連製品の開発にも役立っています。また、「つくる・はこぶ・つかう」という水素サプライチェーンすべてにまたがる幅広い事業を手掛けようとしている会社ですので、各部門がシステム全体を俯瞰しながらそれぞれの製品を設計・開発できることも強みだと思います。

早稲田 真平

多様な分野の専門家たちに協力を仰げる

当社は冷凍機も自社開発しています。主にビルの空調などに使われるもので、こうした製品の開発を通じて得た熱流体の解析技術などの知見が豊富です。社内には解析や要素試験を請け負ってくれる部門もあり、磁気冷凍の技術開発においても重宝しています。歴史ある大きな会社ですから、さまざまな専門性をもつ技術者がいて、多種多様な技術やノウハウの蓄積があることはやはり強みですね。誰に聞けばいいかわからないことがあっても「この分野ならあの人が詳しいよ」とすぐに相談相手がみつかるなど、技術者同士の連携がとりやすいことも技術資産の活用推進につながっていると思います。

A.M.

スピード重視の開発を後押しする意思決定の早さ

水素飛行機に関連する技術開発を始めるには、遅くもなく早くもない今が絶好のタイミングだと聞いています。これはつまりライバルたちと横一線の競争をしているということですから、開発スピードこそが生命線です。このことはプロジェクト全体の共通認識で、スピードを高めるため開発の進め方は各技術者に一任されています。上の意思決定も早いので、開発フェーズごとに外部研究機関との連携を試みたり、特殊な試験設備の利用を打診したり、あらゆるチャレンジがやりやすい。こうした開発環境が整っていることは、大きなアドバンテージといえるのではないでしょうか。

Q4.あなたが思い描く未来、ビジョンについてお聞かせください

原 彰宏

常に世界の動向を意識しながら、自らの技術を高めていく

他社の新製品開発が完了したというニュースや、海外の水素プラントの話題など、水素に関連するニュースを見るたびに「自分も頑張らないと!」と刺激を受けています。ただ、水素に関してはまだまだ分からないことばかりなので、今は吸収する段階だと割り切って日々学びながら開発に取り組んでいます。この先もずっと必要とされる知見ですから、基礎からしっかりと身につけた上で1日も早くアウトプットにつなげていきたいですね。最前線で経験を重ね、いつの日か水素技術のエキスパートとなって開発を主導していく技術者になりたいと考えています。

早稲田 真平

社会に影響を与える製品開発を実現させたい

今はまだどのような構造と性能を備えた装置にするのかという開発コンセプトを見定めている最中ですから、具体的な話はしにくい段階です。ただ、この冷凍装置は液化水素を扱う場所には必須のデバイスになり得る可能性がありますので、他の水素関連製品とのシナジーも期待できます。社会実装が実現できれば、世の中に与えるインパクトはかなり大きいものになるはずです。そのためにもまずは私自身が液化水素や磁性体、熱流体のエキスパートとなって、開発をリードする技術者にならなくてはいけません。道は険しいですが、社会のため会社のために頑張りたいと思います。

A.M.

数十~数百億円規模の市場開拓を目指して一歩一歩着実に

安全性の確保は、今後さらに重要な開発テーマになってくるはずです。現行の航空機と同程度、つまり1万時間は問題なく飛べるものになっていなければ普及は難しいです。もちろん商用化プロセスの検討も必須です。何年頃までに既存の航空機の何%が水素飛行機に取って代わり、水素飛行機1台の価格はどうなるのか、液化水素用ポンプの価格は、荏原のシェアは…といったシナリオを描きながらマーケティング担当と試算を繰り返しています。うまくいけば数百億円規模に育つ事業ですが、当面は目の前の課題をひとつひとつクリアしていくことに専念したいです。

募集職種一覧をみる
募集中の求人への
ご応募はこちら