基本設計

試行錯誤を繰り返し、オンリーワン製品を生み出す設計職。その苦労が報われる瞬間とは。

鳥生 雅彦(荏原エリオット)
2013年入社 基本設計

荏原の独自開発の技術力が魅力

私が担当しているのは、主にコンプレッサ向けタービンの設計です。詳細設計の上流で「この部分はこうする」と製品全体の基本設計を決めていく業務を担っています。

営業や技術計画から届いた仕様をもとに、性能計算やタービン回転軸のローター解析をはじめとしたさまざまな計算を行いながら、設計仕様の詳細を詰めていきます。タービン本体の性能だけでなく、カップリングやバルブなどタービン・コンプレッサを運転する上で必要になる一部補機類の選定も私の業務範囲です。営業から製造まで多くの人が関わるプロジェクトにおいて、私はタービンの本体設計全体を統括する責任者といえます。

コンプレッサは、石油精製プラントなどで稼動する巨大な機械装置です。中で回転する蒸気タービンは大きなもので全長6〜7m、重さは100tに達します。1〜2年という時間をかけて設計・製造されるこのオーダーメイド品は、その後世界中のプラントに納入されます。

国内拠点だけでは、デリバリーや調達、アフターサービスの質とスピードの面で十分な価値を提供できません。それらの課題に対応するべく、当社は米国ペンシルベニア州にエンジニアリングと製造の拠点を設けています。私たち設計エンジニアにも赴任のチャンスがあり、私自身2018年からの3年半、米国の研究開発部で働きました。現在は日本に戻ってきていますが、日米の現場を経験することで視野が広がりましたし、設計全体を俯瞰して見られるようにもなりました。

前例のないスペックのタービン設計に挑む

さまざまなプラントで使われる製品ですので、求められるスペックも多種多様です。もちろん、これまでにたくさんのタービンを開発してきましたので、ある程度ラインナップは揃っています。しかしどれだけ技術が進歩しても、過去に経験したことのない耐圧性や耐熱性、サイズや新材料などが求められるケースはやはり出てきます。

前例のない形状のタービンを顧客に提案するために、シミュレータ上で強度解析を行い「この形なら大丈夫」「今の材料だと厳しい」といったフィードバックをアプリケーションエンジニアに返したり、技術的な相談に対してあらゆるアプローチから実現の可能性を探ったり・・・。米国のR&Dなども含め社内の知見を総動員しながら、要素技術の検討から始めることも少なくありません。

解にたどり着くためには試行錯誤が必要となるので、とにかく図面を描き、3Dモデルをつくり解析しての繰り返しですね。解析や評価は基本的にシミュレータ上で行うのですが、改善の必要がある場合は私自身が3Dモデルを触って形状を変えてみたりします。どこに手をつけるべきなのか、そのヒントを添えて「この形状ならうまくいくかもしれません」と伝えることで、図面を描く技術者の一助になればいいなという想いです。図面や数字とにらめっこしながら、あれこれ考えたり試したりできるのは、当社の設計職の面白みだと思いますね。

自分の設計した製品が、動いてる!

私たちが設計業務を行う事業所には工場が隣接しています。行きたいと思えばすぐに行ける距離にありますので、自分が設計を担当したタービンが予定通りに製造されているか、コンプレッサと組み合わせられた時にどんな姿になるのか、気になった時に気軽に現場を見に行くことができます。

例えば、製造現場では、偶発的に設計通りの物が納入されないことがあります。その場合、強度的に保つのか、何か補強をしなければならないのかを品質保証部と協力して検証したりすることも、私たち設計者の務めです。場合によっては米国のR&Dの協力も仰ぎながら、迫る納期の中、必死であらゆる対応策を検討します。これはワンオフのものづくりには避けられないことではありますが、正直なかなか大変です。

ただ、苦労が多い分感動も大きいんですよ。特に私が設計する製品はスケールが大きいですから、思い描いた通りのものができあがった時、そしてタービンがコンプレッサに組み込まれ試運転で問題なく動いた時には「おおっ!」と気分が上がります。

設計の仕事を始めた当初は、組み上がった時の感動が大きいのですが、そのうち慣れてくるとだんだん無事に回った時の安心感の方が上回ってきます。どれだけ数をこなしても、実際に動くのを見るまで「大丈夫かな」という心配が常にありますからね。ちゃんと動いているのを見るとやっぱりホッとしますね。

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